プレミアムウォーター(2588)
[概要]
天然水を製造販売。富士山などの水源で天然水を汲み上げ、工場で除菌処理、ボトル詰めなどを行い、各家庭に定期的に配送するサービス。
宅配水サービス分野では圧倒的首位。
[株価指標]
株価 3495円(6/18) 時価総額1014億円
ROE(実) 37.13% ROA(実)6.13%
PER(予)30.7% PBR(実)13.29%
配当利回り0% 自己資本比率17%
[ここ数年の業績]
2017、2018は積極的に契約獲得を増やしたため、営業赤字だったものの、その後は損益分岐点を超えたことにより、黒字化。
[事業の特徴]
契約時にウォーターサーバー代、販促費などで初期費用がかかり、その後、定期配送契約を結び、毎月の利用料金でその先行投資分を回収するという形になってます。
契約を増やしたときは先行費用がかかるものの、その後は安定的に集金できるというストックビジネス的事業モデルです。
利益率を見てみると、粗利率が85.5%とかなり高いです。
粗利率が高いのは当然で、基本的に水を汲み上げてるだけなので。
一方、販管費率が77.2%と高く、結果、営業利益は7.8%となっています。
販管費としては物流コストの割合が大きく、売上に占める割合は20~25%ということで、この物流コストの増減が今後の利益率、また業績を左右しそう。
[この会社の強み]
いちばんの強みは営業力。
全国1000人の営業部隊がいるらしく、ここは同業他社にはなかなか真似できないところ。
同じく、宅配水事業を営んでいる上場企業のナックという会社があります。
ナックの宅配水事業のここ数年の売上推移は以下になります。
プレミアムウォーターの売上推移と比べてもらえば、どれだけ顧客獲得能力に差があるのかがわかると思います。
現在の宅配水市場では圧倒的な1位で、2位の売上に2倍以上の差をつけています。
[買った理由]
① 売上は今後もそれなりには伸びそう
2020/03期、2021/03期と2期連続で20%超の売上増を達成している当社ですが、中計は出さない方針を決めました。
その理由としては、今までの20%増収は出来すぎだし、かといってコンサバティブに5%増収で計画を立てても、今度は保守的すぎて投資家の判断を混乱させてしまうから、ということらしいです。
2022/03期の業績予想としては15%の増収見通しです。
② 売上が伸びる以上、利益率も伸びる
今後数年の売上増がどの程度のレンジで推移するのかはわかりません。
自分は最低5%、最高で20%ぐらいのレンジと予想していて、今後5年ぐらいは10%前後で推移するんじゃないかなと考えてます。
そして、ある程度の売上増さえあれば当然、利益率も改善されていくはずです。
実際、ここ数年の営業利益率は
2019/03期 2.16%
2020/03期 4.09%
2021/03期 7.80%
となっていて、来期予想では
2022/03期 8.31%となっています。
[最大のネガティブ要素]
この会社のいちばんのネガティブ要素は言うまでもなく物流コストの高騰です。
運送業界は慢性的に人手不足ということもあり、荷主は値上げ圧力にさらされています。
プレミアムウォーターにとって物流コストが経費のなかで最たるものなわけで、物流コストの高騰は利益率の悪化に直結します。
これに関しては確かに明確なリスクであって、かなり注意する必要があります。
ただ、物流コストに関しては、ある程度、抑制できるのでは?と考えてます。
[その理由]
まず、大前提の話なんですけど、物流コストというものは、少量のものをこまめに運ぶと高くつきます。
たとえば、4tトラックと10トラックでは、運べる量が4tと10tと、比率にして4対10の差があります。
しかも、4tトラックといっても、箱車だったりすると、箱の部分の重量も引いて考えなければいけないため、積載量としては実際は2.7tくらいだったりするわけです。
つまり、積載物量の比率にしてみれば、4tトラックと10tトラックでは4倍くらい違う場合もあったりします。
しかし、4tトラックと10tトラック、この運送費がどれくらい違うかというと、実はそう大した違いはなかったりします。
たとえば、200kmの距離の運送費が、
10tトラックで50000円
4tトラックが35000円、だったりします。
(各会社によって運賃の決め方は様々で、これはあくまで一例です)
1tあたりの運送費を計算すると、5000円と8750円で相当、差があることがわかります。
実際は、4t車はたいてい箱車だったりするので積載量は4tもなく、もっと重量当たりの運送費に差がつきます。
ということで、一例をあげましたが、物流コストというものは物流が大規模であるほど、コストを抑えやすい側面があり、売上を増やしていけるプレミアムウォーターはその点でコストを抑えやすいのではないか、と考えます。
また、プレミアムウォーターは現在、全国に5つの水源をもっているんですが、現在、岐阜に新たな水源を獲得し、工場建設中です。
新たに水源が増えたことによって、水源から配送先への距離も短縮できます。
ということで、運送会社の値上げ圧力は当然あるものの、物流コストの抑制(低減はむずかしいものの)は可能ではないかと考えてます。
IRに物流コストについて訊いてみたところ、「大手配送業者からの値上げ圧力はあるものの、地元業者との契約を増やすなどして、大手との価格交渉力が上がっている」という答えでした。
また当社は宅配水業界で首位ということで、OEMなどの引きあいも多いらしく、そこでの利益率の向上も狙えます。
また、宅配水サービスというものが、今まで述べた理由により、ある程度の規模がないと成り立たないのでは?と思ってます。
決算説明会で「他の会社は水源が富士山しかなかったりする」という発言があったんですが、水源が一つしかない会社と水源が複数、分散している会社とでは物流コストの点で天と地の差があるでしょうから、早晩、いくつかのメインプレイヤーに集約されるのではないかなと。
ということで、今回はプレミアムウォーターを買った理由について書いてみました。
ところで先週、プレミアムウォーターを買ったもののあまり自信はない、みたいなことを書いたんですけど、次回はプレミアムウォーターを買うのにあまり乗り気じゃなかった理由についても書いてみます。