ソライトブログ

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ユニゾホールディングスを調べてみた①

[2019.5.31作成]

 

 

 

ユニゾホールディングス(3258)

事業内容:東京、およびアメリカでのオフィスビル賃貸、ホテル事業。

株価:1857円 

PER:来期の純利益が非開示のため不明、2019年3月期では5.21倍

PBR:0.56倍 

配当利回り:4.58% 

自己資本比率:16.32%

株主優待:ホテル割引など

 

ぱっと見、安いですね。

配当利回りも4%超えですし。

ただ優待のホテルの割引はあまり使い勝手がよくなさそう。

なんでも以前はUCギフトカードがもらえたらしい。

 

売上げ、利益の推移

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きれいに右肩あがり。

過去7年間ほど、営業利益で20%~30%という高成長を続けています。

2018年は伸びが鈍化していますが、この成長力でこの株価(PER5倍、PBR0.5倍程度)ってどういうこと?

疑問が頭に浮かんできますが、とりあえず過去5年の株価の推移を見てみましょう。

 

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2015年、2016年に一時、6000円代をつけてからは3年ぐらいは下げトレンドです。

もちろん、これにはちゃんとした理由があります。

 

理由①増資爆弾

ユニゾHDの経営陣を見ると、日本興業銀行(現みずほ銀行)出身者が多いです。

有価証券報告書で確認したところ、全18人の役員がいるんですが、会長、社長含む6人が興銀出身でした。

みずほ銀行との深いかかわりにより、融資が受けやすいという事情があったのか、借入れを増やし、事業を拡大していきました。

 

結果、自己資本比率が低いです。現在は16%程度ですが、以前はもっと低かった。

それなのにアクセル全開、イケイケの経営を続けました。

当然お金が足りません。

どうするか。増資です。

ユニゾホールディングスは2014年、2016年、2017年、2018年と増資をしています。

ほぼ毎年です。ここまでくると逆に2015年はなぜしなかったのかと疑問にすら思いますね。

 

理由②成長がもう期待できない

 

増資して株の価値がじゃぶじゃぶに薄まりながらも、増収増益は続いていましたし、EPS,BPSともに成長していました。

 

しかし、昨年(2018年)、ユニゾは当分のあいだ増資は行わないことを表明します。

 

(参考)

ユニゾ上方修正&増資は(しばらく)しない宣言! | お気楽主婦の株とアフィリエイトで生活 ♪

 

これで安心。・・・・とはいきません。

すべてのものは等価交換。何かプラスのことがあれば、かならずマイナスがある。

増資がなくなったのがプラスだとしたら、マイナスになった部分は『会社の成長』です。

 

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来期の営業利益の予想が23.4%減です。

これは賃料の減少などを見込んでいるわけではなく、約2000億円の保有不動産を売却したことによる影響です。

2018年度もすでに半分ほど不動産の売却をしてるらしいです 。

もっとも不動産の売却があるので、純利益はこの数字よりも上にいくんでしょうが。



 

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中期経営計画では以下の目標があげられています。

 

・自己資本比率20%超を保持すること

・効率化による経費削減

・資本拡大をせずに利益成長をめざす

 

要するにこれまでのアクセル全開から一転、ブレーキを踏み込んだってことですね。

 

なぜここでブレーキ?

まず推測されるのは資金繰りの問題でしょうか。

PBR0.56倍で増資っていうのも、おかしいでしょうし。

あとは銀行からの圧力があったり・・・・した可能性もあります。

ちなみに関係あるかどうかはわかりませんが、興銀出身の役員が6人と先述しましたが、2015年は11人でした。

 

あとは、何と言っても不動産市況の悪化を見越しての経営判断だと思われます。

 

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 東京のオフィスビルの供給量のグラフなんですが、2018年に141万㎡とかなりの供給があり、また2020年にはそれを上回る供給が見込まれています。

それにより、空室の増加が懸念されていました。

決算説明資料などにも、東京の不動産はピークを迎えつつあるとの記載があります。

ここ数年ほど、東京の不動産は値上がりを続けていたので、高いうちに利確しておこうという判断でしょう。

 

ただし、ここ1、2年が不動産のピークなのかどうか、言葉を換えれば不動産バブルなのかどうかについては疑問の残るところで、たとえば、この森トラストの出しているレポートにはこうあります。

 

https://www.mori-trust.co.jp/pressrelease/2019/20190415.pdf

 

18年は過去平均を4割程度上回る供給がなされたが、ほぼすべての新築大規模オフィスビルが満室となった。旺盛なオフィスニーズのもと、19年竣工のビルも既に大部分で募集を終了させており、過去3番目に高い水準の供給が見込まれる20年竣工ビルもテナント誘致が進んでいる。

21年-22年にかけては新築オフィスビルの供給量が過去平均のおよそ半分にまで引き締まる。21年竣工ビルの中にはすでにテナントが決定しているビルもみられることから、新築オフィスビル市場は引き続き堅調に推移するであろう。加えて、新築ビルへテナントが移転することにより生じる既存ビルの空室も、現在の力強い増床ニーズにより順調に消化されている。既存オフィスビル市場も引き続き好調を維持することが予測される。

(中略)

18年以降3年間の大量供給による需給バランスの悪化懸念は、杞憂に終わったといえる。

 

 

東京のマンションはともかく、オフィスビルの需要はまだ旺盛みたいなんですよね。

 

とりあえずユニゾHDは保有不動産を売却するという判断を下したわけで、この判断が吉とでるか凶とでるか注視したいと思います。

 

あと、もう少し書きたいことがあったんですが、長くなったので別記事にします。

 

ユニゾホールディングスを調べてみた② - soright?ブログ

続きです。