今回は4025多木化学について 調べてみました。
多木化学は大正7年設立の歴史ある肥料、化学会社。
現在の株価水準はこんな感じ。
時価総額は310億円。
自己資本比率は61.5%です。
バカマツタケとiPS細胞の心筋シート
多木化学といえば、2018年10月にバカマツタケの人工栽培に成功したと発表し、株価が高騰する局面がありました。
2000円台だった株価が一時は6000円までになりました。
また、2019年に、大阪大学と共同研究でiPS細胞から大きく脈動する心筋シートの作成に成功。
ひょうご経済+|経済|大きく拍動する心筋シート 多木化学と阪大が作製
チャートで見ると、2019年10月に跳ねているところがありますが、心筋シートを手術に使用することを申請する見通しがニュースになり、材料化したもの。
ここ数年の業績
人の耳目を引く材料はあるものの、ここ数年の業績はさえません。
売上は横ばい、もしくは下降ぎみ。
営業利益は年ごとにブレが大きいです。
この理由としては 、多木化学の商品である化学肥料、水処理剤などがコモディティ化しており、価格競争力を持っていないからではないかと思われます。
セグメント別利益
事業セグメントは以下の通り。
アグリ 化学肥料など
化学 排水処理の水処理剤など
建材 石膏ボードなど
不動産事業 加古川の社有地を利用したもの
次がセグメント別の売上推移。
化学品(水処理剤など)と化学肥料の売上が大きいことがわかります。
次がセグメント別の営業利益推移です。
セグメント別の利益で見てみると不動産の利益がかなり大きいことがわかります。
売上のグラフでは、不動産のセグメントは最下位だったのにもかかわらず。
それもそのはず。
不動産の利益率は53.1%です。驚
土地持ち企業としての多木化学
ということで、ここからはちょっと不動産の話。
多木化学は歴史ある企業ということもあって、兵庫県加古川に46万㎡もの広大な土地を持っています。
(他にも千葉などに土地を保有)
加古川はここ。
加古川の土地の一部をイトーヨーカドー、ユニクロなどに賃貸しています。
賃貸に使っている土地は約19万㎡。
そして、有報によれば、賃貸不動産の含み益は約90億円です。
バカマツタケで株価が急騰する前のPBRは0.7倍程度だったので、当時は資産バリュー的側面もあったのではないかと。
現在のPBRは1.09倍程度です。
終わりに
最近の暴落でとうぜん多木化学の株価も下がっています。
ただ、現在の株価が高いか安いかは判断のわかれるところではないでしょうか。
ここ最近の利益成長率から見ると、PER20倍は高すぎです。
PBR1.09倍は土地の含み益も考えれば、割安といっていいかと思いますが、資産バリューという視点で考えれば、他にいい株はいくらでもあります。
バカマツタケ、心筋シートという材料がなければ、今の暴落した株価はわりかしフェアバリューのようにも思えます。
ですので、バカマツタケ、心筋シートが今後、業績にどの程度、貢献するのかを分析するのが重要になるわけですが、そんなの分析できるわけもありません。
バカマツタケは来年度に事業化を目指しているとのアナウンスが最近ありましたが、いまのところ「目指している」だけですからね。
とはいうものの、私は最近の暴落で多木化学を買いました。
その理由としては、まあバカマツタケに夢を見たいから、ですかね。
株価を急騰させたバカマツタケ栽培成功は、常識破りの大発明だ(田中淳夫) - 個人 - Yahoo!ニュース
バカマツタケというふざけた名前ですが、味もにおいもマツタケより上らしい。
記事を読めばわかりますが、マツタケの近縁種は植物との共生が必要とされていたのに、菌床栽培に成功したということが、この発明のすごいところ。
バカマツタケで夢を見させてくれえ!!!と思いますが、株式市場で夢を見たがるのはたいへんに危険な行為です。
夢はちょっとしたことで失望を招き、失望は現実のお金をごりごり減らします。
ただ、多木化学の今の株価水準というものは、前述したようにそれほど高いとは思ってないです。
多木化学は不確定要素が強すぎで、主力にするにはちょっときびしいですが、今の株価水準だったら、ポートフォリオのなかで少額、組み込むにはいいんじゃないかと思ってます。
成長性はないものの、それなりに事業は安定していて、リーマンショックのときも減益ながら、ちゃんと営業黒字でしたし。
のんびりとバカマツタケの事業化を待つのも一興かと。