STIフードホールディングス 2932
STIフードはどんな会社?
主にセブンイレブン向けに水産物を加工、販売している会社。
会社HPより
おにぎりのいくらや、さばの塩焼きなどの惣菜です。
自分はハロヲタなので、ヤングタウンというラジオ番組(明石家さんまさんがメインパーソナリティ、アシスタント、ゲストがハロメン)を毎週聞いてるんですが、一時期、さんまさんがセブンのさばの塩焼きが絶品で毎日食べている、と言ってました。
で、そのさばの塩焼きを作ってるのがこの会社です。
ちなみに、このさばの塩焼きは保存料を使用せずに10日間の消費期限を実現しているそうです。
業績推移
売上は毎年10%強ぐらいの増加ペース。
2019/12期に利益がへこんでいるのは、2018年10月にワタミから承継した白岡工場が赤字だった影響によるものだと思います。(白岡工場は2020/12期に黒字化)
今後の売上の成長
今後もある程度の売上の成長は持続できるのではないかと考えます。
STIフードは現在、宮城県石巻市、埼玉県白岡市、千葉県船橋市、福岡県糸島市、静岡県焼津市に工場があります。
今後の計画としては、今期2021/12期に近畿に新工場新設が予定されていますし、来期には首都圏に新工場の新設計画があります。
要するにまだ、セブンの需要に応えきれてないと会社側は考えているようです。
また、現在、近畿圏には福岡の工場で生産したものを運送しているんですが、近畿に新工場が出来ると、福岡工場のキャパシティが空くため、福岡工場から台湾、韓国への輸出も考えているそう。
他にもセブン向けとしては、アメリカに工場新設も考えているみたいですが、おそらく、これは2,3年後になりそうなので、まだ考えなくていいかなと。
セブンイレブン以外の販路
↑ これは直近、2Qの決算説明資料なんですが、ここに記載されている、今後、新規取引が開始される
「健康食品通販会社」は世田谷自然食品、
「急成長している高品質食品スーパー」は成城石井
です。
その時点では本決まりでなかったのか、決算説明会で社長は社名をぼやかしてたんですが、最近の四季報にははっきりと名前が出てました。
この2社との取引がどの程度の売上増になるのかはわかりませんが、販路拡大はもちろんポジティブですし、売上構成でセブン向けが82%と集中しすぎなので、その緩和という意味でもプラス材料かと。
今後の利益
この会社の原価率は73.2%、販管費率は21.1%です(2020/12期)。
水産加工会社なので原価率は高いですし、それゆえに魚価の変動に大きく利益が左右されるのは致し方ないところ。
最近の気候変動により漁獲量が下がり、原価が上がってしまうということは当然考えられます。
また、決算説明会で社長が「外国がインフレで、日本だけがデフレだと買い負けしてしまう」ということを言ってまして、確かにこの懸念はあります。
最近の円安傾向などもあり、原価に関してはちょっとネガティブにとらえてます。
一方、販管費に関しては今後、それなりに軽減はできそう。
有報を見ると販管費のなかで最大なのは運賃。年間22億円かかってます。
2021年12月期後半に近畿地方に工場新設が予定されてるのは前述したとおりですが、これまでは福岡の工場から西日本に商品を配送していました。
この点で物流コストの効率化は見込めるはず。
それから、来期に予定されている首都圏の新工場ですが、この新工場で仕分けを行うことで物流コストが削減できる(社長いわく2~2.5ポイントの削減)そうです。
同業他社比較
水産関連、コンビニ関連の食品メーカーをとりあえずまとめてみました。
水産関連は原価の変動がかなりありそうなので、利益率は3年の上下幅を見てます。
こうして単純にPERで見るとSTIフードが割高に見えますが、他は売上が横ばいの会社がほとんどなので、特に割高とは思いません。
さて、このなかでSTIフードと比較すべきなのは、同じくセブン向けが売上の大半を占めるわらべや日洋です。
わらべや日洋はおにぎり、弁当、サンドイッチ、和菓子、とセブン向け食品の多くを手掛けてる会社。
STIフードとわらべや日洋を比較してみると、利益率がかなり違います。
同じセブンのベンダーなのにSTIフードのほうが利益率が高く出ています。
この差が何に起因するのか推察してみると、
①STIフードのほうが付加価値の高い商品を作っているのでは?
②STIフードは基本、水産物のみ。一方、わらべや日洋は商品が多岐にわたるため、生産ラインが多く、無駄が多いのでは?
といったところが、考えられるかと思います。
あと、もう一つ思いついたのは
③STIフードのほうが、社長の押し出しが強いのでは?
という点。
決算説明の映像を見た人ならわかると思うんですが、ここの社長はかなり癖が強めです。
最近のヒット商品で「たことブロッコリーのバジルサラダ」というのがあるんですが、セブンにこの商品の値上げを要求した際にかなり強硬な態度をとったということを話してました。
STIフードの投資判断
利益に関しては、魚価や工場新設の先行投資などでけっこう上下しそうかなと思います。
個人的に重要ポイントなのは、これからも売上がちゃんと伸びていくかどうか。
なぜ売上を重視するかについて、一つ、他の会社を例にあげます。
上の同業他社のリストにあるピックルスコーポレーション。
ごはんがススムキムチで知られる漬物メーカーですが、ここは白菜、キュウリの価格で利益が極端に上下する会社でした。
天候不順で白菜、キュウリの価格が高騰すると利益も激減し、そのたびに株価も大幅下落してました。
一部ではお天気銘柄なんて呼ばれかたをしてました。
しかし、全国に工場を増やし売上を毎年増やし、それに利益率の改善も伴った結果、2015年の株価水準からすると株価は4倍ほどになってます。
(最近は売上が伸び悩みぎみですが)
ということで、STIフードも水産物という自然のものを相手にしているわけで、利益の上下はあるでしょうが、売上さえ伸びていれば、株価はついてくるのではないかという理由で、売上を重要視してます。
上で書いたように、それなりに売上は伸びるのでは?と期待しているんですが、まあ、どうなることやら、といった感じです。