今日はコロナショックで多大な被害を被るであろう会社を調べてみました。
大手芸能プロダクションのアミューズ(4301)です。
アミューズってどんな会社?
大手芸能プロダクション。
サザンオールスターズのマネジメントがスタート。
よくヤンタンでさんまさんがアミューズ初期の話をしてたりする。
その後、富田靖子との契約を皮切りに、三宅裕司などの俳優、タレントのマネジメントも始める。
単なるタレントのマネジメントというよりは、コンサートの企画、演出、また楽曲の著作権を保有していたりなど、総合エンタテイメント企業といったほうがいいかも。
所属タレント、ミュージシャンは多岐にわたる。
ミュージシャンではサザン、エレカシ、福山、星野源perfume、ベビメタ、ワンオクロックなど。
俳優は深津絵里、岸谷五朗、佐藤健、上野樹里など。
アーティスト一覧 - アミューズ オフィシャル ウェブサイト
所属アーティスト、タレントはここに色々載っているんで、興味のある人は見てください。
もともとミュージシャンよりの事務所という印象だが、俳優もなかなかそろっている。
ソニンって今、アミューズなんだとか、新日本プロレスが業務提携していたりと、見ているとなかなかおもしろい。
ぱっと見では、幅広い年齢層にアピールできる陣容だなという印象。
ミュージシャンは特に。
とかく黒い噂が絶えない芸能界ではあるけれど、アミューズの悪い噂ってそういえばあまり聞いたことがないような・・・・。
もちろん、芸能事務所ということで、それなりに後ろ暗いところはあるのかもしれないが、同じ上場企業であるエイベックスと比較すれば、相対的にホワイトなイメージはある。
そういえば、かつて吉田豪さんの発言でこんなのがあった。
「自分の姪がとてもかわいいんだけど、もしアイドルにするのなら、アップフロントかスターダストかアミューズに入れる」
だそうです。
いろいろと裏事情を知っている人がいうんだから、それなりにホワイトなんだろう。
業界全体の動向
アミューズのHPにあった市場動向のデータ。
音楽著作権、CMはほぼ横ばい。
CDは下落傾向、配信は逆に上昇傾向。
なので、これらに関しては、市場全体の伸びというものはあまり期待できない。
が、一つだけ伸びている分野があって、それがライブ。
ネットで音楽を簡単に聴けるようになり、音楽のパッケージソフトとしての価値は薄れた。
しかし、それゆえに、一回性の体験であるライブの需要と価値は高まっている。・・・というのはよく聞くところ。
このライブ重視は全世界的なトレンドでもある。
アミューズグループのポジション - 株主・投資家情報 | 株式会社 アミューズ
アミューズ自体のセグメント別の成長性はここで確認できます。
DVD製作は右肩下がり。
印税ビジネスは横ばい。
一方、ライブビジネス、出演CM事業は右肩上がり。
売上、利益の規模からいって、アミューズにとって最重要なのがライブビジネス。
近年の業績
芸能という水商売ゆえ、業績の浮き沈みがあるのは当然。
しかし、数年単位で見れば順調に伸びている。
これは前述したようにライブビジネスの市場規模が伸びていて、アミューズという会社がライブビジネスを重視してきたから。
たとえば、音楽パッケージ(CD)の売上が多いエイベックスの業績と比べてみるとよくわかる。
エイベックス
(エイベックスはライブと音楽パッケージの売上がほぼ同じ)
アミューズは楽曲の著作権を持っていて印税収入はあるけれど、エイベックスと違い、CD販売としているわけではない。
アミューズのキャッシュフロー
投資キャッシュフローが少ないため、年々、現金同等物(250億円ほど)が積みあがっていっている状況。
ただ、芸能事務所にとっての「投資」とは、レッスンなどで人材を育成することだろうから、そういう意味ではPLの費用に「投資」が含まれているといっていいか。
財務状況
有利子負債はゼロ。
前述したように現金同等物が250億あるので、財務は盤石。
あと、バランスシートを見ていて気になることが一つ。
アミューズは13000曲の著作権を保有しているのだが、BSにはその記載はない。
自社で楽曲制作を行う場合には費用として計上されるので、BSのほうには反映されないということらしい。
とはいっても著作権によって年間10億くらいの利益が出ている。
年間10億の利益を生む著作権の資産価値をいくらに見積ったらいいのかはわからないけど、アミューズの純資産は多少、過大評価してもよさそう。
アミューズの強みとリスク
アミューズの強みは何といっても、大手芸能プロダクションであるということ。
大手だからこそ、人気タレントと新人をバーターで売り込むといったことができる。
ここらへんはジャニーズなんかを見ていれば、素人でもなんとなくわかる。
強いものはより強くなる。そういう世界。
それから、大規模なライブを運営するノウハウはどこでも持っているものではないらしい。
少し考えてみれば、それは当たり前の話で、地下アイドルを見ればわかるように、芸能プロダクションは誰にでも始められるけれど、ドーム公演までいくことはほぼ不可能。
そして、ドーム公演クラスの経験があるプロダクションは限られる。
広告や、会場設営や、演出のノウハウなど。
そうした能力と経験を持っている会社はそう多くはない。
それに加えて、アミューズは海外ツアー(perfume、ベビメタ、ワンオクなど)のノウハウなどもあるだろうから、そこらへんの強みというものもあるでしょう。
アミューズについて調べてみてから、もともとは別事務所だった星野源、SEKAI NO OWARIがアミューズに移籍してきたことを知った。
(SEKAI NO OWARIは所属事務所の子会社化という形)
この移籍がいかなる事情によるものかを詳しくは知らない。
しかし、アミューズが大型ライブのノウハウを有していることが、移籍を決意させる要因の一つになったのではないかという推測はそれほど的外れではないと思う。
一方、リスクとしては、有報の一番目に書いてあるように人気アーティストに営業収入が偏っていること。
数年前までは有報にその年の売上トップ3のアーティストが記載されていたのだが、そのときのトップ3はサザン、福山雅治、ポルノ、perfumeあたり。
今ではそれ以外のアーティストの売上もかなり伸びているように見えるが、それでもまだ売上の偏重はあるんだろう。
トップアーティストに何かあったら業績が激変というのでは、なかなか安心して投資はできないかも。
しかも、その何かはありとあらゆる可能性があるわけで。
数年前に桑田佳祐が紅白で反日行為をしたということで、叩かれるといったこともあった。
こういうのもリスクの一つ。
あと誰かのドラッグ発覚とかも当然考えられるわけで。
(ベビメタの誰かがドラッグとかいうことになったら、かなり複雑な気分です)
終わりに
ということで、今回はアミューズについて見てみました。
今のところ、公演中止による損害がどの程度なのかもわかりませんし、また、この自粛がどこまで続くのかも不透明です。
仮にコロナが収束してライブが行えるようになったとしても、今度は別の問題が待ち構えています。
先ごろオリンピック延期が発表されましたが、オリンピックによって武道館、さいたまスーパーアリーナなどの会場が抑えられてしまうと、ライブ会場の確保ができなくなります。
参考記事
本当に深刻化するのは、東京オリンピック前後? - Real Sound|リアルサウンド
オリンピックが2年延期されてしまうと、会場の確保は相当前から予約しないといけないため、事業がかなり不安定になることに。
記事内で書いたように、年10億円の利益を生む著作権収入だけは安定しているでしょうが。