今回は前回のアミューズに引き続き、コロナに悪影響を強く受ける企業を見てみました。
ボーリング、アミューズメント施設運営のラウンドワンです。
現在(2020/04/09)、ラウンドワンは国内、アメリカの全店舗を休業中。
まずはコロナショック以前のラウンドワンの業績から見ていきます。
国内は減少、アメリカは増加
国内の店舗数は2011年に108店舗あったものが2015年に113店舗に。
そして2020年度末には103店舗になっている予定。
ってことで、国内の店舗は頭打ち状態。
一方、米国はここここ数年は1年で10店舗ほどを出店するなど攻勢。
以下は国内と米国の売上と利益の推移。
国内は2016年に6.5%と最低の利益率を記録。
しかし、その後、不採算店舗を閉鎖することによって利益率は改善。
一方、米国は出店を続け、2011年には1店舗だったものが2020年度末には42店舗に。
ここ2年は1年で10店舗を出店しているペース。
利益率も向上傾向。
アメリカはショッピングモール内への出店が多い。
ショッピングモール内にラウンドワンがあることによって、集客力があがるので引き合いは多い。
また、それゆえに賃料でも強気の価格交渉ができるんだそう。
参考記事:
ROUND1はなぜアメリカで成功したのか? | IT企業をサポートする IT弁護士MEDIA
昨年の株主総会での質疑応答によると、数年以内にアメリカで120~130店舗を出店。
3~4年以内にアメリカ子会社の自走が可能になると見込んでいるので、そこからは他国に投資(出店)していく予定。
次に進出するのは中国、ロシアを考えている。
ちなみに2020/03期の3Qの説明資料に中国・ロシアの出店準備費用ということで8000万円が計上されている。
(2Q時点ではその記載はなし)
ということで、中国、ロシアへの出店はかなり現実化していた模様。
今年度は米国が不調
ここ数年、米国の利益率は向上傾向だったものの、今年度は既存店売上が悪く、利益率が悪化していた。
これはコロナ以前の話。
それを受けてか、株価も去年の9月ごろから下落基調だった。
コロナショック以前に1500円近辺 → 1000円近辺まで下がっている。
そして、コロナショックによって1000円 → 500円。
最大10.5%の自社株買いを発表
3月31日にアメリカの41店舗全部の休業していることを公表。
そして同日に最大10.5%の自社株買いをアナウンス。
期間は5月19日まで。
また、4月7日に全店舗の休業を発表。
新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う臨時休業(全103店舗)、休業期間延長のお知らせ
新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う臨時休業(全103店舗)、休業期間延長のお知らせ
このなかで注目されたのが以下の文。
5. 当社の財務状況について
2020 年3月末日現在の当社連結グループの保有する現預金残高は約340億円(差し入れ保証金約80億円は除く)であります。店舗閉鎖時の月間での支出額は概ね日米合わせて50~60億円であることから、自己株式の取得金額の50億円を考慮しましても当面5ヶ月の運転資金については確保できていると考えております。また、6か月を超える長期の休業が想定される場合は、各金融機関から資金調達を行い対応いたします。
全店休業状態でも5か月はもちこたえられる。
これがとりあえずの安心感につながったのか、株価は20%ほど上昇。
最後に
ということで、今回はラウンドワンをちょっと調べてみました。
国内では成長は見込めないものの、アメリカでの成長はまだまだ期待できる会社です。
今年度の既存店売上の不調はちょっと気になりますが。
ただ、もちろんこれはコロナ抜きの話なわけで。
コロナでの休業は国内では5月6日まで、ということにはなっていますが、休業がどこまで続くかはまだ不透明です。特にアメリカは。
営業再開できたとしても、客足が遠のくことは当然考えられます。
またアメリカへの投資、また中国、ロシアへの投資も足踏み状態になるでしょう。
しかし、この業態でアメリカで一定の成功を収めるというのは、それなりのポテンシャルがあるんだなあと思いました。
また、株価下落局面で大規模な自社株買い、そして、現在の経営状況を素早くアナウンスしているのは好印象です。
わからないという状況がいちばん怖いですからね。
今の株価指標はこんな感じ。
自己資本比率は53%です。
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