[前回の記事]コロナショック後の紳士服業界を見てみよう(AOKI、青山商事)
コナカ(7494)
コナカは他と違って、9月決算なので、2020/09期の2Q決算を見てみます。
そして、四半期単独で見た業績がこちら。
一応、2Q時点では営業黒字を確保してますが、かきいれどきの2Qがこれです。
3Q,4Qが昨年度と同等であるならば、今期はほぼ赤字決定です。
実は紳士服4社のなかでコナカの決算は断トツでひどいです。
コロナショックがあっても、他3社は営業黒字を維持、最終利益が赤字になったのは青山商事だけ。
コナカだけ9月決算ということで、他3社と単純比較はできませんが、コナカだけ暗黒時代(civ)がきているよう。
見ての通り、コナカの業績は真っ赤っかですが、実は見た目以上に悪いかもしれません。
というのも、コナカは昨年、サマンサタバサを買収しました。
子会社のサマンサタバサの業績
ここでサマンサタバサの業績を軽く振り返ってみます。
サマンサタバサは2020/02期の決算で23億の赤字を計上。
これで、最終赤字は4期連続になります。
広告費を圧縮したり、不採算店の整理を行ったりなど、手は打っているもののまだまだ厳しい状況。
[サマンサタバサの苦境①]
※2019年と2020年のバランスシートの比較。
黄色の自己資本がぺらっぺらに。
[サマンサタバサの苦境②]
※「サマンサタバサ」のグーグルトレンド5年分。見事な右肩下がり。
さて、サマンサタバサは2Q時点では持分法適用関連会社だったため、サマンサの業績は営業利益には載ってません。
営業外費用に18億円の損失として計上されています。
ところが5/1にコナカはサマンサタバサを連結子会社にすることを発表しました。
https://www.konaka.co.jp/ir/assets/2020/05/20200501_1.pdf
これによって、来期からはサマンサの業績がコナカの決算にそのまま乗ってくることになります。
もし、2Q決算にサマンサの決算が乗っていれば、当然のごとく赤字です。
とはいうものの、ここでサマンサを連結子会社にするということは、逆に考えるとサマンサの止血にある程度のめどが立ったということかもしれません。
希望的観測かな?
それから、一つ付け加えておくと、コナカのBSを見ると、流動比率(流動資産÷流動負債×100%)は212%と極めて良好です。
(一般的に200%以上だと理想的とされる)
コナカに限らず、紳士服4社はどこも業績は厳しいですが、自己資本比率や流動比率では良好というのは共通するポイントです。
はるやまHD(7416)
ということで、4社目のはるやまを見ていきます。
ところが、はるやまにはそれほど特筆すべき点がありません。
AOKI、青山商事、コナカはそれぞれ、なにか期待できる点だったり、逆にこれはダメなんじゃないかという点があったりしましたが、はるやまはそうした何かしら過剰なものがない印象。
ということで、手短に見てみます。
はるやまの2020/03期本決算がこちら。
当然、大幅減益ながら、営業利益、純利益ともに黒字を確保しているし、たいしたもんだという印象。
通期を通してみると、例年は黒字だった3Qが営業赤字になっていますが、これは消費増税のせいなので、特に問題はないかと。
売上が減少傾向なのは間違いないので、先行き不安感があるのは確かですが。
紳士服業界の株価指標
最後に各社の株価指標をのせておきます。
このご時世、PERは意味ないでしょうから、PBRと自己資本比率を。
AOKI(8214)
PBR0.40倍
自己資本比率 60.5%
青山商事(8219)
PBR 0.21倍
自己資本比率 52.1%
コナカ(7494)
PBR 0.22倍
自己資本比率 58.9%
はるやま(7416)
PBR 0.33倍
自己資本比率 61%