今日は10月にマザーズに上場したばかりのさくらさくプラス(7097)について分析してみます。
さくらさくプラスはどんな会社?
認可保育所を運営。
保育所の大部分が東京。
地方では少子化が進み、保育所が余り気味になっているのに対し、東京はまだ待機児童が多く需要があることと、また東京都は認可基準が厳しいものの、補助金が充実していることが要因。
補助金ビジネス
保育園銘柄ということで利益のなかで補助金が占める割合が高いです。
たとえば、2021/07期の業績予想を見てみると、
営業利益が4.6億円に対し、経常利益が16.8億円、と12.2億円も経常利益が多い。
これは補助金を経常利益として計上しているためです。
また、補助金はその多くが3Qに計上されるため、1Q、2Qは冴えない数字が出ることに。
12/14に1Q決算が出たのですが、-5600万円の経常赤字でした。
上場して初の決算で赤字はネガティブに見えますが、この会社の経常利益のタイミングからすると、それほど問題はないと考えます。
成長性
過去5年間で売上は5倍、純利益は28倍。
今期予想では売上は26%増、純利益は14.5%増の予定です。
株価水準
現在の株価2648円で計算すると、PER10.5倍、PBR3.74倍。
投資するにあたってのリスクは?
この成長性でPER10倍程度と、かなり割安に見えます。
また労働力不足により、女性の就業率向上は社会的、また政策的要請があるわけで、この会社の追い風になりそう。
一見すると魅力的には見えますが、実際どうなんでしょうか。
ここからはさくらさくプラスに投資するにあたってのネガティブな側面をあげたいと思います。
① 中長期的には保育所の需要は鈍化する
これは有報に書いてあります。
また、首都圏の保育所が十分な数に達したとき、補助金の縮小などの政策転換が起こる可能性は十分考えられ、一気に業績が悪化する可能性はあります。
ただ、その中長期的がどの程度だと会社は考えているのか?
これも同じく有報から抜き出してみると、
2024年度末くらいまでは、政策的に保育所の高需要 は続く、と会社は考えている。
と私は受け取りました。
② 他の保育所銘柄と比べて優位性がわからない
保育所運営している上場企業は別にさくらさくプラスだけではなく、グローバルキッズ(6189)、テノHD(7037)、キッズSHD(7084)などがあります。
ここらへんも目を通しましたが、正直、さくらさくがこれらの企業と比べてどこに優位性があるのかは、まったくわかりませんでした。
もっとも、これは自分の勉強不足でしかないのかもしれませんが。
③ 保育所を新設しないと成長が鈍化する
類似企業としてあげたグローバルキッズなんですが、2020/09期決算は営業利益は4.7億円(前期比+175%)と好調だったものの、経常利益は9.16億円(前期比-48.7%)でした。
これは、保育所の新設が前期比で少なかったことにより、設備投資に係る補助金収入が減ったためです。
この事情はさくらさくプラスもおなじでしょうから、保育所を新設しないと経常利益が落ち込んでしまうことになります。
今期のさくらさくは前期と同じく14の保育所の新設を予定しています。
ですので、とりあえず今期はその点に関しては心配ないでしょうが、来期以降どうなるかはわかりません。
終わりに
ということで、今回はさくらさくプラスを見てみました。
最後にここ最近の値動きを記しておくと、12/14に1Q決算が発表され、経常赤字だったことから、翌15日に株価は大幅に下落しました。
その翌日には、一転、13.7%プラスの大幅高でした。
これは、おそらく四季報の発売があったので、その影響だと思います。
四季報の来期予想(2021/07期)はほぼ、会社予想と同じですが、2022/07期の予想では純利益が14億円で2021/07期比で33%成長することになっており、PERは7倍と記載されています。