さて、今回はフィットネスジム銘柄を見ていきたいと思います。
わざわざ言うまでもないですが、フィットネスジムはこのコロナ禍でもっともダメージを受けた業界の一つ。
経済産業省が出している「フィットネスクラブの毎月の売上高」の推移を見てみると以下のように悲惨なことになっています。
このような状況下でフィットネスジムを運営している会社の業績はどうなっているんでしょうか?
さっそく見ていきたいと思います。
コナミ(9766)
いわずとしれたゲーム会社大手だが、スポーツ事業も運営。
コナミスポーツクラブはマシン、ダンススタジオ、プール、ゴルフ、テニスなどを備えた大型のフィットネスジム。
コロナ以前の2019/03期の売上は634億円。セグメント利益は22.4億円。
売上600億円は後述のセントラルスポーツ、ルネサンスとほぼ同規模になります。
2021/03期の中間決算は売上は前年比51.3%のマイナス。
セグメント利益は30億円の赤字。
もっとも、コナミはゲーム事業が好調なので、全体としては営業利益は増益、純利益は微減となってます。
下半期は桃鉄の売上が好調なこともあり、それなりにいい数字は出そう。
時価総額は8323億円。
ルネサンス(2378)
スポーツクラブ「ルネサンス」を運営。これはコナミと同じく大型のフィットネスジム。
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コロナ以前の2019/03期の売上は460億円、営利は37.8億円。
2021/03期の中間は売上が前年比45.2%のマイナス、営業利益は29億円の赤字。
スポーツジム各社は中間決算で売上が50%程度のマイナスになっていることが多いです。
決算説明資料によると、春が入会ボリュームが大きいらしいので、ここがすっぽり抜けてしまったのが痛いところ。
もっともルネサンスはコロナ以前から成長が鈍化傾向でした。
新たな成長ドライバーとして、元気ジム という高齢者向けのデイサービス的施設に力を入れていたりします。
また24時間営業の小規模ジムを3店舗、出店しています。
コロナ以前の株価推移を見てみると、PER10倍~17倍程度で推移しています。
ルネサンスの成長性を考えると、おおむね妥当な株価水準かな、という印象です。
現在の時価総額は191億円。
セントラルスポーツ(4801)
1969年に元オリンピック選手4人が設立。スイミングスクールというビジネスを初めて成功させた会社。
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コロナ以前の2019/03期の売上は542億円、営業利益は42.4億円。
コロナ禍の2021/03期の中間決算は売上は44%のマイナス、営業利益は2.8億円の赤字。
セントラルスポーツは決算説明資料に会員数の推移が載ってたのですが、前年比で83.1%です。
ルネサンスと同じく、セントラルスポーツも2018年あたりから成長力の鈍化が顕著になっています。
その理由は、次のグラフを見れば一目瞭然。
会員の平均年齢が55.1歳。
要するに会員が高齢化しています。
しかも2019年と2020年を比較すると、2020年のほうが若年層の退会が進み、結果的に高齢者の割合が増えているのが見て取れます。
covid19によって生命の危機にさらされるはずの高齢者のほうが退会していないという皮肉な状況が生まれています。
おそらく、高齢者の会員の多くが幽霊会員なのではないかと推測されます。
コロナ以前はPER12倍から19倍程度のレンジで推移しています。
時価総額は249億円。
東祥(8920)
愛知基盤のスポーツクラブ。他にはホテル事業なども。
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コロナ以前の2019/03期の売上は272億円、営業利益は71.6億円。
コロナ禍における2021/03期の中間決算は売上は44.2%減、営業利益は前期比-86.8%減ではあるものの、4.5億円の黒字を確保。
売上がほぼ半分になっているのに、営業黒字ってどういうことなんだろう、と疑問に思ったんですが、この会社はもともとの営業利益率が26%近くあるんですね。
今まで見てきたルネサンスやセントラルスポーツの利益率が7~8%なので、同業他社と比べてかなり突出した利益率になります。
この利益率の違いを生んでいるのはなんなんだろうと、ホームページを見たりしても他の大型ジムとの違いというものがよくわかりません。
ネットで評判を見ても、他のスポーツジムと比較して特に際立ったものがあるようではないですし(ちなみに評判はあまりよくないです)。
ちょっと調べてみると、
・簡単に会員数を獲得できる都市部を避け、ロードサイド中心に出店するというユニークな施策
・もともとが建設業発祥ということもあり、設計段階で無駄なく作りこむことで建設費が同業の半分程度で済む
といった点が利益率の差にあらわれているようです。
そういえば、ネットでの評判で「内装がボロい」などの意見がありましたが、建設費の安さの一つの現れかもしれません。
セントラル、ルネサンスと比較すると、東祥は成長力のあるほうで、毎年10%ほどの増収を維持しています。
同業他社と比較したときの成長性、また利益率の高さなどが評価されてか、コロナ以前はPER20倍~40倍程度と、そこそこ高めの株価水準で推移しています。
現在の時価総額は599億円。
売り上げ規模ではルネサンス、セントラルスポーツよりもかなり少ないのにも関わらず、両社よりも2倍以上の時価総額で評価されてます。
終わりに
今回とりあげた4社以外のジムとしては、日本テレビ傘下のティップネスや、スイミングスクール運営のJSS(6074)などがあります。
ティップネスはあまり資料がなかったこと、JSSは時価総額が17億円と小さいことから、今回は省略しました。
さて、今回は従来からある大型フィットネスジムを見てみました。
各社ともコロナ禍で業績が厳しいのは同じです。
そして、コロナ禍への対処法も、
・消毒、感染防止の徹底
・youtube、またはSNSなどを使ったリモートトレーニング
これらをあげていたのも、共通してました。
まあ、このくらいしかすることはないでしょうしね。
もっとも、従来型のフィットネスジムは、コロナ以前から成長力の鈍化が見られる会社がほとんどでした。
最後の東祥は比較的成長性が高いですが、それでも年率10%程度の増収です。
セントラルスポーツの説明資料にあったように、従来型のフィットネスジムは会員数の高齢化が進んでいるものと思われます。
ここ数年のフィットネスクラブの会員数はこのページを見ると、ゆるやかに右肩上がりです。
https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010140040050100019/2
ということで、この需要の受け皿になっているフィットネスジムが他にあるわけで、次回はそうした企業を見てみようと思います。
具体的にはライザップ、FFJ、カーブスなどです。
ライザップは今までちゃんと調べたことがないので、ちょっと楽しみ。
[次記事]
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